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クリスマス・ストーリー

あるクリスマスイブに…

作者不詳

 クリスマスのお祝いには、赤と白の服に白いひげのあのおじいさんが大活躍。そう、サンタクロースですね。でも、クリスマスってサンタクロースのことなのでしょうか?

 あるクリスマスイブの夜、私はお気に入りのソファにどっと腰を下ろしました。疲れてはいたけれど、心は満たされていました。子どもたちはすやすや眠り、プレゼントはラッピングされ、サンタクロースには暖炉のそばにミルクとクッキーが。私はクリスマスツリーの美しさに見とれていました。でも、何かが足りないような気がしてなりません。そうしている内に、私はまばたくライトの光に誘われて、眠りについてしまいました。

 どのくらい眠ったのでしょう、突然、誰かがいることに気づきました。私がどんなにびっくりしたか、想像して下さい。目を開けたらツリーの横にサンタクロースが立っていたのですから。サンタは帽子から靴までふさふさの毛皮で、ちょうど、「クリスマスイブの夜」の詩にあるサンタと同じでした。でも、言い伝えにあるような「陽気な年寄り」ではなくて、目の前にいるサンタは、悲しそうで、がっかりしていました。そして、目には涙が…。

 「サンタ、どうしたの? どうして泣いているの?」
 「子どもたちじゃよ…」 サンタは悲しそうに答えました。
 「でも、子どもたちは、あなたのことが大好きよ。」
 「ああ、子どもたちがわしのことも、わしが持ってくるプレゼントも大好きなのは知っているさ。だが、今の子どもたちはクリスマスの本当の意味ってものを知らないようでね。子供のせいじゃない。大人が子どもたちに教えるのを忘れているんじゃ。大人だって、子どもの頃にそれを教わらなかったもんが大勢いるのじゃから。」
 「子どもたちに教えるって、何を?」

 サンタのしわだらけの穏和な顔が和らぎ、もっと優しい顔になりました。目は輝き始めましたが、涙のせいではありません。サンタは優しい声で話しました。
 「子どもたちに、クリスマスの本当の意味を教えなされ。クリスマスには、目で見え、耳で聞き、手で触れられる以上のものがあることを。クリスマスの風習や伝統が何を意味しているか、それが本当は何を表しているかを教えなされ。」

 サンタは袋に手をやり、小さなクリスマスツリーを取り出して、それを暖炉の上に置きました。
 「クリスマスツリーについて教えなされ。緑はクリスマスの二番目の色じゃ。一年中緑の葉が茂る常緑樹は、イエスにある永遠の命の希望を表しておる。木のてっぺんが天国を指しておるのは、人もまた天国のことを考えるようにと言っているんじゃよ。」

 それから再び袋に手をやり、今度は星を取り出して、小さなツリーの上につけました。
 「星は、天国からの約束のしるしじゃ。神はこの世に救い主を送ると約束された。星はイエス・キリストがお生まれになった時に、その約束がかなえられたことを表しておるんじゃよ。神は必ず約束を守られること、賢い人は今でも神を探し求めることを教えなされ。」

 「赤は、クリスマスの一番大切な色じゃ。」
 サンタはそう言って、赤い飾りを取り出しました。
 「赤は濃く、鮮やかな色。わしらの体を流れる、命を与える血と同じ色じゃよ。それは、神の最高の贈り物を象徴しておる。子供たちに教えなされ。キリストは彼らのために命を捨て、血を流されたと。そして、それによって永遠の命が持てるのだと。だから、赤い色を見たら、子どもたちは、人生で最高の贈り物のことを思い出すべきなんじゃよ。」

 次に、サンタは袋からベルを取り出し、ツリーにつけました。
 「迷った羊が鈴の音に導かれて無事囲いに戻るように、この鐘は今でも鳴り続け、すべての人を囲いに導くんじゃ。子供たちに教えなされ。羊のために命を捨てた真の羊飼い(イエス・キリスト)に従いなさいと。」

 サンタは暖炉にろうそくを置き、火を灯しました。柔らかな光が部屋全体を照らします。
 「神は遠い昔のクリスマスイブに御子を与えられた。ろうそくの輝きは、どうやったらその贈り物への感謝を表せるかを示している。子どもたちに教えなされ。キリストのあとに従い、善を行うようにと。すべての人がそれを見て神をあがめるように、光を輝かせなさいと。
 ツリーのライトが何百本というろうそくのようにまばたくのは、そういう意味なんじゃ。一つひとつが、神の尊い子ども一人ひとりを表しているんじゃよ。」

 サンタはもう一度袋に手を伸ばし、今度は赤と白のしま模様のキャンディーステッキを取り出しました。それをツリーにかけながら、サンタは優しく語りました。
 「キャンディーステッキは硬く白いキャンディーの杖じゃ。白はイエスが乙女の下に生まれたことと、罪なきことを表しておる。キャンディーはイエス(Jesus)の『J』の形をしておるじゃろう。救い主として地上に来られたイエスの頭文字じゃ。これには良い羊飼いの杖の意味もあってな。イエスはこの杖を使って、この世のどぶに手を伸ばし、羊みたいに道を外して落ちてしまった者を引き上げられる。
 キャンディーステッキにはもともと、三本の細い赤線が入っていた。それらはイエスがむち打たれた傷を表しておってな。私たちはその傷によっていやされるんじゃ。太い赤線はイエスが十字架で流された血。それによって私たちは永遠の命が得られる。それを子供たちに教えなされ。」

 それからサンタは、香りの良い青葉と赤いリボンで作られた美しいクリスマスリースを取り出しました。
 「リボンは完ぺきな絆、つまり愛のことじゃ。リースは、見る目と理解する心を持つ者たちのために、クリスマスの良きものすべてを表しておる。リースには赤があり、緑があり、また天を見上げる常緑の針葉樹があるじゃろう。リボンはすべての人への善意を告げ、その色はまたしてもキリストの犠牲を思い出させる。その形も象徴的でな、永遠と、キリストの愛が永久(とわ)に続くことを示しておる。始まりも終わりもない円なのじゃ。これらのことを、子供たちに教えねば。」

 「でも、あなたのことは、サンタ?」
 サンタの目には涙はなく、その顔から笑みがこぼれています。サンタは言いました。
 「ありがとう。わしはただのシンボルなんじゃよ。わしは家族のだんらんや、与え、受け取る喜びの精神を表しておる。だが、さっきのことを子どもたちに教えるなら、わしの存在が必要以上に重要になってしまうことはなかろう。」


 私は再び、眠りに落ちてしまったに違いありません。目が覚めた時、『ああ、やっとわかってきたわ』と思いました。あれは夢だったのでしょうか? 私にはわかりません。でも、サンタの別れの言葉は覚えています。
 「あんたが教えないなら、一体誰が教えるんじゃね?」